プロジェクトU「SHINKAへの挑戦」

油之助ができるまでの製作レポート

「取引先の「困り事」に、今までのノウハウを活かせるのでは?と考えたのがきっかけでした」
食に携わる人たちのお役立てできればと創業した会社が、油之助を開発するまでのストーリー。

油之助ができるまで1
発案に向けて

瀬戸内海に面した場所

弊社は、瀬戸内海に面した香川県坂出市に拠点があります。
郷土料理でもある讃岐うどんや骨付きどり、白上天かまぼこ、赤天ぷらなど日ごろから瀬戸内海で取れる豊富な食材などに囲まれながら育ちました。
食に携わる人たちのお役立てできればという気持ちがあり、厨房関係の業務を創業しました。

油濾過機への開発

当社の創業当時は、厨房機器の卸売やメンテナンス業務に携わっておりました。取扱品目は、食器洗浄機や寿司ロボット、グリーンストラップ洗浄機や業務用洗剤を取り扱っておりました。
信頼と実績を重ねていくなかにおいて、お客様の立場になって考えることや先用後利の大切さを学びました。

業務に携わるなか、取引のあったうどん店、かまぼこ店や無農薬野菜など食材にこだわりのあるレストランから「きれいな油で調理がしたい」「汚れた油で調理するのが気になる」や「油濾過機を使っているが、使い勝手がよくない」など、困っているお客様の要望に応えるための濾過機が必要だと考え、ノウハウを活かして、新しいタイプの食用油濾過機を開発することにしました。

油之助ができるまで2
製作レポート

様々な試作品を開発する過程で、テスト使用されたユーザー様から寄せられたご感想を基に検証しました。

[作業時について]
  • 濾過作業に煩わしさを感じさせない。
  • 濾過作業に時間をかけない。
  • 揚げ作業の邪魔にならない。
  • 揚げ作業のあと濾過作業に移るとき、スムーズにする。
  • 置き場所のスペースを確保しやすくする。
  • 中腰やしゃがまなくても作業ができるようにする。
  • 濾過材の取り換えに手指や衣服が汚れない。
  • 嫌なニオイがしない。
[濾過材について]
  • 濾過精度を高める。
  • 濾過材の処理をしやすくする。
  • 濾過材コストを抑える。
  • 濾過材の処理は産業廃棄物として処理しなくてもよい素材にする
[濾過機について]
  • ロック状態(動作停止)にならないようにする。
  • 故障をなくす取り組みができるようにする。
  • 長く使っていただけるための工夫が必要。

「手間なく、時間をかけずに、確実に濾過を行えること」がお客様からのご要望でした。
さらに、油がきれいになるだけの濾過機ではなく、作業効率化や環境保全にもお役立ていただける製品でなければならないと考えました。

油之助ができるまで3
油之助フィルターの開発

精製剤などの化学濾過ではない地球環境にも優しい濾過材への開発

精製剤などの濾過材を用いることで油がきれいになることは試作段階で分かりましたが、使い勝手などで評価が低いと判断しました。
とくに、「使用後の精製剤を必ず産業廃棄物として適正に処理しなければ、産業廃棄物処理法により、使用者と販売者が処罰の対象になる恐れがある」「精製剤は不燃物扱いなので、埋め立て処理になる場合がある」ことを知りました。

現在、環境問題や衛生管理が大きく取り沙汰される中で、このまま放置すれば、地球環境に取り組んでいることに悪影響を及ぼしかねません。
油をキレイにするために濾過をする毎、産業廃棄物が増えることが本当に環境保全にとっていいことなのかを疑問に思いました。
未来に向けた環境の取り組みをする中で、濾過材の処理を可燃ごみとして適正に処理できる必要性があることを認識しました。

ニーズに応えるためには、フィルターの新しいカタチが必要だった

お客様からのニーズに応える機械を作るためには、根本から見直す必要がありました。それは、濾過精度が高く、高速濾過、熱と圧力に耐えられる新しいカタチの濾過材の開発でした。それまでの「濾過機本体の開発」ではなく、「濾過材からの開発」でした。

何度も試行錯誤の研究を重ねる結果、フィルターの形状をU字型特殊製法の開発することにより、油との接触面積を広げることで濾過精度が高くなりました。さらに、フィルター層の厚みが増し、熱と圧力に耐え、高速での濾過を可能にすることができたのでした。
それが「油之助フィルター」なのです。

「油之助フィルター」の濾過精度は高く、当社が行ったテストでもそれまでのものとは違っていました。また、その濾過精度は、お客様からも認識されております。また、使用後の濾過材を産業廃棄物として処理するのではなく、可燃ごみ処理にできるように、バージンパルプを仕様しました。

「油之助フィルター」を使った濾過方法は、その効果が認められ、特許を取得しました。

油之助フィルターにより新たな課題

しかし、「油之助フィルター」を取り入れたことで、新たな課題が生じました。それは、製造原価がそれまでより高くなったことでした。
「油之助フィルター」を装着する「油之助フィルターケース」の加工には、内部圧力に耐えられる構造が必要でした。製作には、鍛造加工などの高い技術を用いなければ、耐熱耐圧耐候性に優れた製品ができないためでした。
さらに、フィルターケースの付属品が増えたことにより、製造原価が加算されていきました。

油之助ができるまで4
多くのユーザー様にご提供できるように開発

ポンプアップ方式の採用

品質を下げることなく、製造原価を下げる工夫を考えなければならなかったのです。そのために、油之助の部材等の生産過程を見直すことでした。フライヤーに合わせたモデルを製作するのではなく、どのフライヤーにも対応できることを目指しました。

そこで考えだされたのが、ポンプアップ方式なのです。ポンプアップ方式にすることで、どのフライヤーにも対応できるようになりました。
そのため、部材の定番化を図ることで、大量生産を行えることで、製造原価をさげることができたのです。

サポートメンテナスを重視した設計

ポンプモーターなど故障が多かった安い海外製から国内メーカーに変更しました。また、ポンプモーターに使用している部品にフッ素加工を施したバイトンポンプモーターなど高品質部材を採用しております。
また、本体洗浄や部材交換が出来るように、全ての部材を取り外すことができる設計にし、オーバーホールメンテナンスに対応できるようにし、いつまでもお使いいただける様、サポートメンテナンスを重視した設計にしました。

油之助ができるまで5
「油之助スリムタイプ」など豊富なラインナップ

ニューモデル開発に必要だったこと

当社の創業者大切にしてきた「ユーザー様の目線に立ち、ユーザー様のご要望に応えること」「ユーザースイタルを貫く姿勢」「技術者は腕で勝負しろ」の理念を継承するため、新たに強みを生かし製品開発を行いました。

新製品の開発にあたっては、お客様からの要望や施策などのガイドラインを5W1Hに置き換える「統計などから市場やユーザーなどのニーズを具体化」をすること、社外からの専門家などの意見指導や伴走型支援を活用しながら、「お客様に分かりやすくしていただくための見える化」の推進が求められていました。

ユーザー様の声を大切にしたことが完成につながった

「油之助スリプタイプ」は、ユーザー様が求めていた「手間なく、時間をかけずに、確実に濾過を行えること」というニーズに応えることができ、課題の解決が実現できた食用油濾過機なのです。
ユーザー様の声に耳を傾け、専門家の指導のもと経営分析を行うことで、完成に繋がりました。

そのことが、コロナ禍において[感染予防対策をしながら生産性を高める効果]とコロナ禍収束を見据えた[内部利益促進を促せる効果]の両面からユーザー様にお役立ていただけるプランをご提案することができると自信をもっております。

ますます広がる油之助フィールド

大型フライヤーに対応するため、200ボルト据置型タイプや液状化した細かな揚げカスを取る除くことができる分離装置や低価格モデルのインフォールタイプなど、お客様の様々なニーズに応えるため、豊富なラインナップをご用意しております。

「バージンパルプを用いること」「濾過に適したカタチであること」は、油之助しかないのです。だからこそ、ベストパフォーマンスでサービスを提供いたします。

油之助ができるまで6
これからの道

油之助開発から決意したこと

今日ある一日を、目の前でおこる一瞬を、大事にすること。そのひとつひとつを積み重ねていくこと。
今まで歩いてきた道とこれからいくその先。
一日でできることがあれば、一生かけてでもできないこともある。

油濾過機業界では、今までにないカタチを追い求めて、多くの企業や人達が挫折し断念した難しい事業であったことが開発を通じて分かりました。
そのなかで、「油之助」という新しいカタチを完成させ、ご提案することができるのは、多くの方々のお力添えがあったからなのです。

今までに、ご協力とサポートくださいましたすべてに感謝の気持ちを忘れずに大切にしていきます。

夢大きく、そして挑戦・・・

私たちの合言葉「夢大きく、そして挑戦」することとは・・・
「様々な観点から物事を考え、お客様の期待とニーズに応えた製品とサービスをご提供ができ、安心して任せられる企業人であり続けるように」を目指すことなのです。

SHINKAの輝跡 ~お客さまのニーズに応えるために~

「新化」今まで実現が難しいと思われていたことへの新たなる挑戦
「真化」真・正統派への試金石
「進化」様々な現場環境に対応できることを考えたバージョンアップ
「深化」お使いになられる製品を長く使えることを考えたプラン
「伸化」後進につないでゆくため人材育成を目指す企業成長

当社では、様々な「SHINKA」を融合と積み重ねながら、お客様のニーズに応えるよう邁進しております。

まだまだ、「SHINKA」の途中・・・その「SHINKA」のさきには、きっと・・・

※ 油之助レポートにある試作については、実際に当社にて行われたことを基に掲載しております。